![]() 2008年6月1日、横浜で開催された「アフリカン・フェア」で、シアバター作りの実演を見学してきました。 手前が原料となるシアの実。奥が精製されたシアバター 煮沸されたシアの実は、まるでホットチョコレートかお汁粉のよう。クリーム色の直方体は、シアバター石鹸の素材 手で錬って、徐々に精製度を高めていきます。茶色からベージュ、そして白に近づくとシアバターの完成 -------------------------------------------------- 【シ】シアバター shea butter (1)――その木どんな木、気になる木 肌の保湿と保護、鎮静、老化防止などの効果が高く、近年欧米諸国でも注目を集めているシアバターは、アフリカ原産のシアの木の実から取った天然植物性油脂です。産地では遠い昔から食用、保健用、医療用などに使われてきました。 カリテとも呼ばれるシアの木は、アカテツ科の常緑高木。学名はButyrospermum parkiiです。西アフリカから中央アフリカにかけての北緯5〜15度のサバンナ地帯に自生するため、一帯はシアベルトとも呼ばれます。ラリーで有名なダカールのある大西洋に面したセネガルからマリ、ブルキナファソ、ガーナ、トーゴ、ナイジェリアそして内陸国のチャドにかけての地域です。 ![]() (シアの木の生育地帯) 成長すると樹高は25メートルにもなり、実をつけるまでに20年から25年もかかりますが、その後は200年にわたって実をつけるという、まさにアフリカ的なスケールを備えた大木です。 ![]() (左:シアの木の実 右:種子と粗製シアバター) 果実は5〜8センチのビワに似た卵形で、薄い果肉はアボカドのような濃厚な味わいとか。シアバターがとれる種子はウズラの卵ほど。殻を割ると仁(シアカーネル)が現れます。 4月〜8月の早朝、熟して落ちたシアの実を拾い、それを洗って圧搾、煮沸、抽出し、シアバターに仕上げるのは、すべて女性の仕事。シアバターによって得られる収入はすべて女性のものという決まりもあります。古来シアが「女性の宝」と呼ばれているのは、しかし、そのことだけが理由ではないようです。 (2)――その実どんな実、身(美)になる実 女性が収穫し、そして作り出すシアバターは、調理用、灯火用など、生活を支える油脂としても使われますが、女性の出産直後には、傷んだ母体、女性器官を癒すために塗られます。 日常的には、アフリカ低緯度地帯の強烈な太陽光線(紫外線)から女性の肌や髪を守るために用いられています。シアバターは、まさに女性の美容と健康のための黄金クリームです。 アフリカの産地では古来から生活の知恵として受け継がれ愛用されきたシアバターの特性が、最新科学によって明らかになりました。植物油脂にはめずらしくオレイン酸やリノール酸といった不飽和脂肪酸を多く含み、またビタミンAやEの働きで、肌の柔軟・保湿作用、抗酸化作用などを備えているのです。 遠いアフリカから日本にもやってきた美容と保健の黄金クリーム、それがシアバターですが、実は、以前から私たちの口に入っていた可能性があります。シアバターは、カカオバターの代用として広く用いられてきました。カカオ純度の高いチョコレートが現在のように広く出回る前には、それと知らずにシアバターを食べていたはずです。 カカオの世界的な大産地は、コートジボアール(1位)、ガーナ(2位)、ナイジェリア(4位)などの西アフリカの諸国で、これはシアの産地とぴったり重なります。しかしカカオの原産地はメキシコ南部から中米グアテマラの一帯。近代になってから、欧米の強国がカカオを国際商品として大規模に生産するため、アフリカに持ち込んだのです。シアの実こそ、正真正銘のアフリカが生み出した黄金の恵みといえるでしょう。 《戻る》 |