アロマ歳時記
(26)
ジャカランダ
アメリカ西海岸のロサンゼルス一帯では、ちょうど今頃、つまり東京の桜が散ってほぼ一月後、桜の木によく似た街路樹が青紫の花を身にまといます。学名:jacaranda sp. 原産地は南米(現在のアルゼンチンからボリビア)で、ブラジルはこの花を国花に定めています。南米に移民した日系人はその花の形から「桐もどき」と呼び、ハワイの日系人は「ハワイ桜」や「紫の桜」と呼んでいるとか。
 ところが、今回、ネットサーフィンをして初めて知ったのは、ある人々(日本人)にとってジャカランダは「アフリカの花」であり、ある人々にとっては「オーストラリアの花」だということ。実際、プレトリア(南ア)、ハラレ(ジンバブエ)、グラフトン(オーストラリア)など、「ジャカランダ・シティ」と呼ばれる都市が世界中にあります。ちなみに、私にとってのジャカランダ・シティは、ロサンゼルス近郊のサウスパサデナ(上の写真ウラ)。
 さて、日本の関東地方では自生がむずかしいジャカランダも、九州では元気に花をつけるようです。たとえば宮崎県の堀切峠(上の写真オモテ)では、5月中旬から6月中旬あたりが見ごろとか。そういえば、長崎出身のさだまさしさんの曲に「ジャカランダの丘」というのがあります。
 ジャカランダというと、私は安香水のような強い匂いを思い出すのですが、各地でこの花に出会った日本人の中には「匂いはない」と証言する人もいます。所変われば花変わる、かもしれません。アメリカ西海岸のジャカランダしか知らない私には、よくワカランジャ。(2006年5月10日・帆蔵)
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(25)

オーストラリアのティートリー
 1980年代前半からオーストラリアのシドニーで生活しているK君が久しぶりに一時帰国し、再会となった。
 彼の「福袋ふう」シドニー土産に混じっていたのがティートリーの小瓶。「先住民アボリジニーの薬だそうです。重宝してます」と言う。料理人で釣り師でダイバーダーでマラソンランナーでもある彼にとって、切り傷、擦り傷、打ち身、喉の痛みなどに用いる、まさに万能常備薬とか。
 ティートリーはオーストラリア東海岸の湿地帯が原産地。神秘的ともいえる効能は、過酷な生育環境の下で獲得されるようだ。しかし、その優れた抗菌作用が医学界で認められたのはわずか80年前。ティートリーという名前の由来は、茶の代用とされたから、との説もある。学名はメラルーカ(melaleuca)和名コバノブラッシノキ。フトモモ科の低木。
 オイルと採取するためのティートリーは、現在ではほとんどが専用の畑で栽培され、アロマオイル用には最高品質のものが用いられる。近いうちに、K君の作る美味しい日本料理と、野生のティートリーを求め、こらあ(コアラ)オーストラリアに1度行ってみなければ……。(2006年4月20日・帆蔵)

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(24)
  御薬園 〔おやくえん〕 英名:Oyakuen 福島県会津若松市にあります。敷地面積は5100坪(約1万7000u)。永享年間(1429-1441年)の創設ですが、寛文年間(1670年頃)に会津藩2代目藩主保科正経(ほしなまさつね)が別荘に薬草園を設置したことから「御薬園」の名がつきました。続く3代目藩主松平正容(まつだいらまさかた)が近江(滋賀県)から目黒浄定を招いて借景池回遊式の本格的な庭園に整え、朝鮮人参も移植して、その栽培法を広く民間に奨めたそうです。昭和34年には藩政時代の薬草栽培地跡に薬用植物標本園が併設されました。会津産薬草199種を含む約400種の薬草を栽培しています。ところで、会津もまた蕎麦どころ。薬味はごく普通のネギでしたが、左の写真のそば粉十割「せいろそば」(650円)はてんこ盛りの二段重ね。若い子は食えても、年取った親食えん(オヤクエン)って……ここはクローズ・ユア・アイズ。(2006年4月10日 帆蔵)
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(23)

グアテマラ(その2) カルダモン Elettaria cardamomum MATON
 グアテマラは農業国で、国名が品種にもなっているコーヒー豆が代表的な産品です。続いてバナナ、サトウキビ、綿花、そしてカルダモンがあります。
 インドが原産とされるカルダモンは、香料、生薬、そして精油として古代から広く使われているショウガ科の植物です。日本名ショウズクは中国語の小荳蒄に由来します。
 果実の中の黒褐色の種子が爽やかでスパイシーな香味を発し、粉末または精油で使われます。
 精油としては、覚醒効果のほか、イランイランなどと同じく催淫効果も持ちます。香料としては、肉類の臭気消しとして使われた歴史があり、インドおよび周辺ではカレーに不可欠、エジプトなど中東ではコーヒーに加え、北欧ではパンやケーキの香味付けに愛用されています。また、カルダモンチャイ(カルダモン入りミルク紅茶)も、日本で知られるようになりました。生薬では芳香健胃の効能が認められています。
 グアテマラからは半生のコーヒー豆をお土産に持ち帰りましたが、カルダモンも手に入れればよかったと悔やんでいます。(2006年3月10日 帆蔵)
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 グアテマラ(その1) 香木
 グアテマラはメキシコ南部と国境を接する中央アメリカの小さな国。紀元前から栄えたマヤ文明発祥の地です。ラテン・アメリカや中南米と総称される地域に中でも、グアテマラはモンゴロイド(アジア)系先住民の占める割合が高く、土地に固有の伝統文化が色濃く残っているのが特徴です。
 標高2030mにあるチチカステナンゴの町。市が立つ日曜日の早朝、サント・トマス教会では、お祓いでもするように、香木が焚かれていました。松の匂いがする白い煙の立ちこめている様は、日本のお寺の境内のようでした。
 グアテマラという国名は、先住民の言葉で「森に囲まれた土地」を意味するクアウテミランに由来するとの説が有力です。国民の多くが生活の場にしている山岳地帯には、多くの種類の松が生育していて、松材は住宅の建築資材、生活用具の素材、そして薪など、さまざまに利用されています。
 世界的な観光地として知られるアンティグアやチチカステナンゴは、フィリピンのマニラとほぼ同じ緯度の熱帯でありながら、高地にあるため、日が暮れると急速に気温が下がります。北の国からやってきたひ弱な観光客は、眠る前に暖炉に薪をくべ、暖を取らなければなりません。生乾きの松の木が放つ香りが、旅の疲れを癒してくれました。(2006年2月22日 帆蔵)
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(21)


 桃の節句
 2月初旬、節分が終わったと思ったら、スーパーの店頭には、袋詰めや升入りなどの豆まき用に煎った大豆と入れ違いに、雛あられ、菱餅、甘酒などが山をなしていました。3月3日を「桃の節句」と呼ぶのは、旧暦ではこの頃に桃の花が咲き始めるからだとされています。新暦の現代では桃の開花は4月上旬以降。つまり、スーパーの店頭は、1か月どころか実質2か月近い季節先どり。これも逞しい商魂のなせるわざでしょうか。
 桃はバラ科で、桜やアーモンドの仲間。学名Prunus persica 中国の黄河上流を原産地と考えられ、古来「仙果」として珍重されています。桃の果実は、単に美味というだけだけでなく、ビタミンやカリウムなどを含み、血圧を下げ、便秘を改善するといった効果があります。種は漢方薬の「桃仁」で、消炎・鎮痛・婦人病に使われ、葉は湿疹、あせも、痔、虫刺され、かぶれなどに効果があり、民間薬などに用いられます。さらに花びらはケンフェロールを含み、下剤・利尿剤に……と、まさにスーパー薬効植物の桃。
 山梨県の桃の名産地では、「お花見」と言えば、桜の花を愛でるのではなく、桃の花を楽しむことを指すのだそうです。(2006年2月9日 帆蔵)
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(20)
 旧正月 〔きゅうしょうがつ〕 英名:Chinese New Year 旧暦(古代中国で確立された太陰太陽暦)の正月を、新暦(西洋太陽暦)に当てはめると、その日付は毎年変わります。去年(2005年)は2月9日でした。来年は2月18日。そして今年は1月29日で日曜日と重なりました。旧正月を、中国語圏では「春節」、韓国では「ソル」、ベトナムでは「テト(節)」と呼び、それぞれ 盛大に祝います。身近(?)な例を挙げると、在日中国大使館は30日から2月3日まで休業。土日を含めて9連休。多民族社会を標榜するシンガポールやマレーシアでは、中国系、マレー系(イスラム)、インド系など、それぞれの民族の暦による正月が、すべて国民の祝日になっています。だいぶ前のことですが、「日本の旧正月は何日くらい休みか」という意味のことを、台湾でも中国でもシンガポールでも尋ねられました。「休みではないし、旧正月がいつなのか知らない人も多い」と答えると、意外そうな顔でした。冬の寒さが続く中でも、日照時間が次第に長くなり、晴れた日には光の勢いも増してくるこの時期を「新年=新春」ととらえる習俗は、北東アジアに暮らす元農耕民(=日本人)の感覚にも合致しているように思います。(2006年1月29日 帆蔵)
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(19)

 七草粥 [ななくさがゆ] 英名 Japanese congee with seven spring herbs 平安時代中期に中国から伝わったとされる風習。正月七日、無病息災を願って食べる「春の七草」が入った粥のこと。七種粥とも称す。春の七草は、ちょっと年配の日本人なら「わらべ歌」のように暗誦している。つまり、芹(せり)、薺(なずな)、御形(ごぎょう)、繁縷(はこべら)、仏の座(ほとけのざ)、菘(すずな)、蘿蔔(すずひろ)。現代語に直せば、薺はぺんぺん草、御形は母子草、繁縷は「はこべ」、仏の座は「たびらこ」、菘は蕪(かぶ)、蘿蔔は大根。そのどれもが、いわゆる雑草に近い、または大衆野菜、つまりインポート(舶来)高級ハーブ・スパイスとは対極の地元草ばかり。それらを加えたシンプルな粥が、正月の美食に疲れた胃腸を整える、と説明されるが、美食が日常化した現代日本では、年に一度ではなく、週に一度の七草粥が相応しいかも。(2006年1月・粥よりおじやが好きなおやじ=帆蔵)
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(18)

 イヌ[犬] 英名 Dog. 古代から人間が家畜として飼い親しむイヌ科のけだもの。一般に勇猛で従順。嗅覚・聴覚が鋭いので、番用・狩猟警察用・労役用などにする。品種が多く愛玩用のものもある。 【戌】十二支の第11番。方角では西北西、時刻では午後8時、または午後7時から9時の間を指した。(以上「岩波国語辞典」より)
ことわざの「犬も歩けば棒に当たる」には、でしゃばることは災いのもと、という意味と、出歩くと思わぬ幸運に出会うという相反する意味が込められています。ところで、犬も歩くと道草を食うことがあるらしい。イヌはもともと肉食ですが、胃腸の調子が悪いときは、自ら固めの草を食べて胃液を吐き出すとか。胃腸を整えるほか、毛づくろいのときに飲み込む毛を吐き出す効果も期待した「イヌ草」という健康系ペットフード(ペットベジタブル?)も商品化されています。ある専門家は、道ばたの草は汚染されていることもあるので、胃弱の愛犬にはキャベツを食べさせればいい、と説いています。
アロマ歳時記
(17)


 シダー 学名 Cedrus Atlantica, Juniperus Virginiana. マツ科。原産地は北アフリカのモロッコ、アメリカ。最近ではクリスマスといえば、ツリー一辺倒ではなく、リースも飾られるようになりましたが、このリースによく使われるのがシダーです。シダーに心を落ち着ける鎮静効果があることは、古くから知られていて、インドの寺院では、昔から薫香として使われています。また殺菌消毒作用にも優れ、気管系の症状や喉の痛みなどを緩和する働きもあります。防虫効果にも優れ、洋服の虫除けに効果を発揮します。
 シダ−ウッドエッセンシャルオイル(精油)は、神経が緊張しているときや、不安にとりつかれたときに役立ちます。呼吸器に作用して、せき、気管支炎、カタルといった症状を緩和します。ただし、高濃度で使うと肌を刺激することがあります。妊娠中の女性は、使用を避けたほうがよいでしょう。(2005年12月・帆蔵)
アロマ歳時記
 (16)
北斎展にて
 東京上野の東京国立博物館で開催中の「北斎展」に行ってきました。『冨嶽三十六景』などの風景画や美人画、幽霊画、古典物語から気象の様子まで、森羅万象を自在な筆致で90歳まで描き続けた葛飾北斎の作品展。大英博物館、ボストン美術館など国内外の美術館や個人所蔵者の協力を得て約500点を6つの時期に分けて展示してあります。絢爛な錦絵も見応えがありますが、とくに面白く感じたのは、元祖イラストレーションのような「北斎漫画」をはじめとする絵手本です。もしも江戸時代にタイムスリップできたら、ベビーマッサージの絵手本を北斎に描いてもらいたいもの。ささやかなのお礼として、北斎さんには入念なアロママッサージを施し、娘の阿栄(雅号は「応以」)さんには、北斎さんが100歳まで活躍できるよう、アロママッサージの仕方を教えたい……。(2005/11/15 帆蔵)
アロマ歳時記
(15)
奥多摩はまだ…
朝からすっきりと晴れ渡ったウィークデー。奥多摩に行ってきました。紅葉には、まだ少し早く、その代わり味わえたのが、秋の「残緑」。多摩川に沿った遊歩道を1駅分くらい歩いたのですが、都会の雑踏を歩くのとは大違いで、まったく疲れを感じません。草木が放散するさまざまな天然アロマ成分と、清流が発するマイナスイオンのせいでしょうか。そして奥多摩の水が育んだ日本酒、豆腐、湯葉が、元気を与えてくれました。川沿いに売店があり、土産に柚子を買って帰ろうと思ったら、あいにく売り切れ。ふと傍らを見ると、枝もたわわに黄色く実っています。鼻をヒクヒク動かしても、サマンサじゃないので魔法は使えず、柚子の香りだけをお土産に、晴れて家路につきました。(2005年11月、帆蔵)
アロマ歳時記
(14)
〔愛知万博〕
8月某日 東京から日帰りで愛知万博、愛称「愛・地球博」に行ってきました。ここまでで、すでに「愛」が3つもありますが、会場は「人・人・人」と「人・人・人」でした。
ちょっと期待がありました。フィリピン館に設置された球体構造の「香りの繭」。1階ではフレーバーティー、精油、ハーブなどの香りが楽しめて、2階ではフィリピン式ココナツオイルマッサージの「ヒロット」の無料体験できると聞いたのです。でも、「人」がいっぱいの万博会場では、列に並ばずに何かをするのはとても無理。まだ日が高いうちに、列に並んでリニモに乗って、会場をあとにしました。(2004年8月24日 帆蔵)
アロマ歳時記
(13)


石榴 [ザクロ] 学名 Punica granatum ザクロ科ザクロ属の落葉小高木。日本では6月頃に赤い花を咲かせます。原産地は西南アジア〜ヒマラヤ。イラン西南部のザグロス山が原産地という説もあります。日本へは10〜11世紀に中国より渡来。中国名の「石榴」(セキリュウ)が次第になまって、ザクロになったのだとも伝えられます。学名のPunicaはラテン語で古代地中海に君臨した国カルタゴ(北アフリカ)の意味。英語では昔、ザクロをpunic apple「カルタゴのリンゴ」と呼んでいました。
実は食用で滋養に富み、また種が多いことから子孫繁栄のシンボルとされました。お正月には必ず食膳に乗せ『森の数の子』と呼んで珍重する地方もある――というのはウソです。実を煎じてうがい薬にすると扁桃腺炎に、陰干しした実や花を煎じたものには下痢止めの効果があるといわれています。果肉や種は、カリウム、アスパラギン酸を多く含みます。1960年代に、カリフォルニア工科大学の研究者が、ザクロには女性ホルモンのエストロゲンが含まれていると発表しました。ただし、近年健康飲料として喧伝されているザクロジュースを分析した国民生活センターは、「エストロゲンは検出されなかった」と報告しています。カリフォルニアの自然食品スーパーでは、オレンジ、グレープフルーツほどポピュラーではありませんが、キウイ、マンゴーなどとともに、ザクロのストレート(100%)ジュースが、ペットボトル入りで売られています。(7月・帆蔵
アロマ歳時記
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紫陽花 [アジサイ] 学名 Hydrangea macrophylla =西洋アジサイ Hydrangea macrophylla forma normalis=ガクアジサイ ユキノシタ科の鑑賞植物の総称。学名のハイドレインギア(英語読み)の語源(新ラテン語、ギリシア語)は、「水を入れる器」。アジサイの原産地は日本。鎖国時代末期の長崎に、オランダ人と偽って渡来したドイツ人医師シーボルトは、禁制の日本地図を入手したため、国外追放となりましたが、シーボルトがヨーロッパに持ち帰った文物の中に、アジサイ14種の植物図があり、アジサイの中でもとりわけ大きな花を咲かせる一品種に「ハイドレインギア・オタクサ」の名を付けました。シーボルトが愛した日本人女性「お滝」にちなんだものです。
アジサイに、特別な薬効はないようですが、「ユキノシタ」は古来、中国や日本で民間薬として親しまれてきました。まだ小学校に入る前の筆者(帆蔵)も、明治生まれの祖母から、裏庭に生えているユキノシタの絞り汁を、よく飲まされたものです。抵抗すると、白砂糖を多めに入れてくれました。それから約半世紀、インターネットとやらで、ユキノシタの薬効を初めて知りました。中耳炎・はれもの・できもの・ひきつけ・痔・むくみ・てんかん・しもやけ………。ユキノシタの、それ以上に祖母のお陰で、健康体になった帆蔵は、小学校6年間無欠席でした。祖母が永眠したのは、23年前のアジサイの季節が終わる頃。(6月・帆蔵
アロマ歳時記
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カリフォルニアポピー [ハナビシソウ(キンエイカ)] 学名 Eschscholzia californica ケシ科ハナビシソウ属 「春は菜の花、秋には桔梗」という歌もありますが、季節を代表する花畑は、春のナノハナ、秋のコスモス、そして夏のヒナゲシというのが日本では一般的。でも、ところ変われば花も変わります。アメリカ西海岸の南部一帯では、その名もカリフォルニアポピーが、4月上旬に満開を迎えます。もともとカリフォルニアの原産で、別名ゴールデンポピー(黄金のケシ)。ゴールデンステート(黄金州)と呼ばれるカリフォルニアの州花に定められたのは1903年のことです。
19世紀の半ば近くに金鉱が発見されると、一攫千金を夢見る人々が全米どころか世界各地から集まり、カリフォルニアの社会が形成されました。それは今なお続いているようです。もちろん、ここで金鉱(富)を掘り当てることはできた人間はごくわずか。生まれた土地を離れ、黄金に出会えないまま老いたカリフォルニアの人々は、春が訪れるたび、砂漠の一画をつかのま黄金色に変えるカリフォルニアポピーの花に、心を慰められるのでしょうか。ロサンゼルスの北、ランカスター郊外のアンティロープバレーには、州立のポピー保護区があります。(2005年4月・帆蔵)
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   [サクラ=ソメイヨシノ] 学名 Prunus yedoensis. バラ科サクラ属 学名のyedoensisは「江戸の」という意味で、日本原産。今年は昨年よりも開花が遅く、東京では3月30日頃と予想されています。Prunus(プラナス)はラテン語で、すもも(プラム)が語源。サクランボはチェリーで、サクラの花はチェリーブロッサムですが、英語では桜の木をジャパニーズ・チェリー、桜の花をチェリーブロッサムといいます。直訳すればサクランボの花。
さて、桜の薬効です。花びらの芳香成分はクマリンで、心を和ませ、憂鬱な気分を晴らし、食欲の増進、二日酔いの緩和にも効果があるといわれます。また、ソメイヨシノ、ヤマザクラ、オオシマザクラの樹皮を夏の間に剥いで日干しにしたもの約50gを水から10〜20分煮出しものを浴槽の湯に加えた「桜湯」に入浴すると、炎症、湿疹、打ち身などを癒す効能があると伝えられています。(2005年3月・帆蔵)
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(9)
 野紺菊  [ノコンギク] 学名 Aster ageratoides var. obatus. キク科シオン属 本州、四国、九州に分布。9月〜11月に開花。あぜ道や土手などに繁茂し、涼しくなると花を咲かせます。南関東、東海など温暖な平地では、秋が深まり、そして冬の訪れが近いことを知らせてくれる花です。「遠い山から吹いてくる、小寒い風に揺れながら、気高く清く匂う花」と歌われた野菊は、このノコンギクのこと。花型は薄青の小菊状で、集団を作り、葉は嫁菜に似ていて細長く、鋸歯があります。草丈60センチ程度。さて、歌の続きに「きれいな野菊、うすむらさきよ」とあるように、名前には「紺」がついていますが、やや色の濃い種類はあるものの、歌にあるように薄紫色。雑草と呼ばれる強い草花ですが、とくにこれといった薬効は認められていません。「霜が降りても負けないで、野原や山に群れて咲き、秋の名残を惜しむ花」です。(2004年11月・帆蔵)
アロマ歳時記
(8)

 金木犀  [キンモクセイ] 学名Osmanthus fragrans Lour. var. aurantiacus Makino. モクセイ科モクセイ属の常緑小高木。原産地は中国南部の桂林地方。中国名は丹桂。ほかに白い花のギンモクセイ(中国名:銀桂)、淡黄色の花をつけるウスギンモクセイ(中国名:金桂)があります。モクセイは雌雄異株ですが、日本へは江戸時代にキンモクセイの雄株だけが伝えられたので、日本では実をつけることがなく、株分けや接ぎ木でふえました。9月上旬に1度目の開花、9月下旬から10月上旬に2度目の開花があり、2度目の開花時に強い香りを放ちます。香りの主要成分の一つがγデカラクトン。この匂いには一部のハナアブだけが反応し、モンシロチョウなどは嫌います。キンモクセイの香り成分を体に塗ったところ蚊の大群に遭っても刺されなかった例もあります。キンモクセイの乾燥させた花弁は、中国ではウーロン茶の香り付けに使われます。入浴剤に使えば疲労回復、精神安定の効果があるといわれます。(2004年10月・帆蔵)
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(7)


 グレープフルーツ  [Grapefruit] 学名 Citrus paradisi ミカン科の常緑高木ないし中高木。小さな枝に数個から10数個の大きな実が、まるでブドウの房のようにぶら下がるのでこの名前がつきました。文旦(ブンタン)が突然変異したとする説が正しければ、アジア原産ということになります。18世紀半ばにカリブ海のバルバドス島で発見され、19世紀初めにアメリカのフロリダに種子で伝えられて、その後、カリフォルニアやテキサスに広まりました。現在はイスラエル、ブラジル、南アフリカでも栽培されています。日本には1910年代にアメリカから持ち込まれたようですが、ポピュラーな果物になったのは1971年の輸入自由化以後のこと。オレンジなどに比べるとカロリーが少なくダイエットにも適しています。グレープフルーツの果皮から抽出される精油成分のうち主要なリモネン(Limonene)には、交感神経を活性化し、気分を明るく爽やかにする働きがあるといわれます。左の写真はグレープフルーツの花。レモンによく似ています。(2004年9月・帆蔵)
アロマ歳時記
(6)
 百日紅  〔サルスベリ〕 学名 Lagerstroemia indica L. ミソハギ科の落葉高木。原産地は中国南部で、中国名は「紫薇」。英語ではクレープ・マートルやインディアン・ライラックと呼びます。クレープは「縮緬(ちりめん)」の意味です。日本には江戸時代に入ってきて、貝原益軒が元禄年間(1690年代)に出版した『花譜』の中に、初めて百日紅(ヒャクジツコウ)の名前が見えます。赤い花が長く咲き続けるためにこの名がつき、また樹皮が滑らかでサルも滑りそうなのでサルスベリ。この木を冬に知ったか、花が咲く夏に知ったかによって印象が違うようです。土地を選ばず成長が速く、病虫害も少ない、とにかく生命力の強い木で大都市の並木にも適しています。今年はすさまじい猛暑。せいぜいサルスベリを見習って、強く、たくましく、夏に花を咲かせましょう。(2004年7月・帆蔵)
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(5)


 アロエ 学名 Aloe. ユリ科アロエ属の多年生多肉植物。原産地は南アフリカ、マダガスカル、東南アフリカ。アロエの名はアラビア語のアロッホAllochに由来し、古代から下剤として利用されていました。ギリシアのアリストテレスがアレキサンダー大王にアロエの産地であるソコトラ島の占有を進言したという記録も残っています。15〜16世紀に日本へ渡来した当時は「蘆薈(ろかい)」と呼ばれていました。これはキダチアロエのことですが、いま世界的に注目されているのはアロエベラ(左の写真)です。ベラとはラテン語で「真実」の意味。葉の厚さは3センチもあって、透明なゼリー状のゲル(ジェル)を豊富に含むのが特長です。有効成分のヒアルロン酸は保湿効果にすぐれ、エジプトのクレオパトラが化粧品として使ったという伝説もあります。乳幼児のおむつかぶれ、ひげそり脱毛のあとに、かさかさ肌、日焼け・雪焼け・しもやけのケアなどに効果があります。アロエベラは、アメリカのテキサス州など西南部で盛んに栽培されています。(2004年7月・帆蔵)
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(4)

 〔カシワ〕 学名 Quercus dentata Thunb. ブナ科の落葉高木。樹皮にはタンニンが多く含まれ、染色や皮なめしに利用されます。
英名はダイミョー・オーク(daimyo oak)。葉や樹の形状が樫(オーク)に似ているので、この名がついたようですが、ダイミョーの語源については諸説があります。中国では「柏」という漢字が、ヒノキ科の植物を意味します。
日本では縄文時代の頃、渋抜きされたカシワの種が食用にされていました。カシワの葉は古来、食物を蒸し焼きにするときに使われ、「炊(かし)く葉」が転じてカシワになったという説が有力。蒸し焼きに使われる葉は広く「カシワ」と呼ばれたようです。端午の節句につきものの柏餅に、サルトリイバラの葉を用いる地方もあります。今年は柏餅をいくつ召し上がりましたか。(2004年5月・帆蔵)
アロマ歳時記
(3)
 アボカド(abocado)学名 Persea ameicana Mill. クスノキ科の常緑高木。アボガドではなくアボカド。ワニナシという名前もあります。これは鰐が食べる梨(アリゲーターピアー)の意味です。
原産地は熱帯アメリカで、メキシコ系、グアテマラ系、西インド系の3種類があり、味がよいとされるのはメキシコ系。メキシコでは、アボカドをペースト状にしたうす緑色のソースをワカモレといいます。また、ロサンゼルス生まれの巻き寿司「カリフォルニアロール」にも、アボカドが使われます。マグロのトロに似た食感で、ワサビ醤油とも相性がいいのが理由だそうです。脂肪、タンパク質、ミネラル、ビタミンを豊富に含んでいる高栄養食品で、果肉は油分を20%ほど含み、その80%がリノール酸やオイレン酸で、良質のアボカドオイルが作られます。アロマセラピーのキャリアオイルとしてもポピュラーになりました。(2004年3月・帆蔵)
アロマ歳時記
(2)
 柚子 〔ユズ〕 学名シトラス・ユーノス・シーブ・タナカ。ミカン科の常緑半高木。柑橘類の中でも耐寒性が強く、東北地方でも栽培されます。原産地は中国の長江(揚子江)上流地域。朝鮮半島を経由して渡来したと考えられています。山口県、徳島県にはユズの原生林があります。
皮に含まれている香りのもとはイモールやペリルアルデヒドなどモノテルペン類、苦みのもとはビタミンP(フラボノイド)の一種です。酸っぱさのもとはクエン酸や酒石酸。いずれも健康に良い成分です。ユズ100g中にはビタミンCが40mgが含まれ、これはレモンに匹敵します。
冬至の日にユズ湯に入る習俗は、1838年に出版された『東都歳時記』にも書かれています。血行促進し、身体を温め、肌荒れを癒す効果などが認められていたためでしょう。日本の元祖アロマ入浴と言ってもよさそうです。(2004年2月・帆蔵)
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(1)

 椿〔ツバキ〕  学名カメリア・ジャポニカ。日本にやってきた宣教師カメリアがヨーロッパに持ち帰ったので、この名がついたとか。ヨーロッパでは19世紀に園芸花卉として大流行しました。日本では室町時代以降、茶道や華道が広まるとともに武士や僧侶に好まれ、とくに城下町に多く植えられています。花弁がポトリと落ちるのが首斬りを連想させるため武士に嫌われたというのは俗説のようです。
種子から搾り取る椿油(カメリアオイル)は日本特産。オイレン酸含有量が80〜90%とオリーブ油にまさり、酸化しにくいため、古くから頭髪用に用いられてきました。近年、欧米ではアロマのベースオイルとしても注目されています。
民俗学者の柳田国男は、もともと暖地で生育する椿が青森や秋田でも自生しているのは、北方に移住した人たちが椿の苗を持ち込んだためだと推測しています。漢字の「椿」は中国ではセンダンの意味。木偏に春がつく文字をツバキと読んだ古代の日本人。椿は日本人にとって春の木なのです。(2003年12月・帆蔵)