【パ】パンデミック pandemic
感染症の世界的な大流行のこと。日本語では「感染爆発」や「汎発流行」といいます。歴史に残るパンデミックには、14世紀ヨーロッパを襲った黒死病(ペスト)、19世紀から20世紀に世界各地で7回発生したコレラ、そして1918年から翌年に発生したインフルエンザ、通称「スペイン風邪」があります。
これは第1次大戦の中立国だったスペインから情報が世界に発信されたためそう呼ばれたもので、実態はインフルエンザ。人が免疫を持っていない新型のウイルスで、しかも毒性が強かったことから、世界中で3000万〜4500万人が死亡。日本でも39万人(一説では45万人)が亡くなりました。これは関東大震災による死者数のおよそ3倍に相当します。
新型インフルエンザは、「スペイン風邪」以後も、1957年に「アジア風邪」、1968年に「香港風邪」そして1977年には「ソ連風邪」と呼ばれるパンデミックを引き起こしました。40年ごと、または10年ごとにインフルエンザによるパンデミックが起こってきたと見ることもできます。
ヒトが罹るインフルエンザの大半は、もともと鳥が感染する鳥インフルエンザのウイルスが変異し、ヒトの体内で増殖し、ヒトからヒトに感染するようになったもの。
長い生物進化の歴史の中で、インフルエンザのウイルスは、群れとなって生息し、また長距離の渡りをする鳥に取りつくことが、種の繁栄(勢力拡大)のためには最良の選択だったはず。ところが、最近になって、鳥と同じくらい過密な状態で生活し、しかもさかんに移動する生き物(つまりヒト)の存在に、ウイルスは気づいてしまったようです。
次のパンデミック到来が恐れられているのは、飛行機を初めとする交通機関の発達で、ヒトの移動がかつてないほど活発になり、大都市の人口集中、しかも衛生状態の悪いスラムが増大しているため。感染の拡大を促す悪条件は、スペイン・インフルエンザ流行の頃を上回っています。
現在、鳥インフルエンザウイルスの中でも強毒性(高病原性)のH5N1型が注目されているのは、鳥だけでなく鳥からヒトへ、そして一部ヒトからヒトに感染し始めているからです。さらに変異が進み、ヒト・インフルエンザウイルスとなって感染が広がり始めた場合、それがスペイン・インフルエンザウイルス並の毒性を備えていたとすると、最悪、全世界で億単位の人命が失われるとの試算もあります。